December 17, 2016

【イベントレポート】ZoukOut Singapore 2016 於Siloso Beach, Sentosa

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シンガポールで最も有名なクラブであるZoukが年に一度、そのハコを飛び出して(ゆえに"out"なんでしょう)、セントーサ島のシロソビーチで開催する野外ダンスミュージックフェスティバルであるZoukOutに参加してまいりました。

http://zoukout.com/2016/

来星3年目にしてようやく参加することができたのですが、色々とEDMフェスが抱える問題は見えつつも、総じて治安がいい!非日常的で楽しい!という所感です。

今年は12月9日と10日の2日間に渡って行われたZoukOutですが、例年のこの時期のシンガポールは雨季にあたり、とにかく雨の得意日です。昨年も出がけに豪雨となったため、参加を断念した経緯がありました。

自分たちは土曜のDay2に参加して、24時過ぎに入島、KSHMR, Zedd, Martin Garrixの3人のプレイを見て明け方に帰りました。ビーチに到着後すぐに通り雨に見舞われましたが、マクドナルドに避難して、事なきを得て、その後は雨雲も晴れて、気温も涼しくコンディションはとても良かったです。

TTはこんな感じでした。
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1.KSHMR

インド系アメリカ人という自身の民族的バックグラウンドを音楽性の全面に押し出し、非常にトライバルなEDMトラックを次々リリースするKSHMR(カシミア)は、今回自分が最もプレイを期待してたアーティストの1人でした。

しかしながら、プレイの方はというと、端的に言えば『PVの上映会』といった感じでした。
確かに音楽性に合わせて非常に凝ったアニメーションや映像が(ブッダのエピソードに絡めたものを中心に)用意され、それはそれで大変見応えのあるものでしたし、野外フェスの巨大スクリーンに映し出されることで、他のDJとは全く違う場の空気を醸してました。

KARATE #KSHMR #zoukout #zoukout2016

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Memories #KSHMR #zoukout #zoukout2016

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KSHMR #zoukout #zoukout2016

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プレイを観ながら、聴きながら、なんでこんなに気持ちが高まっていかないんだろう、まだフロア(砂浜ですが)に入って間もないからかな?などと思いつつ、ふとした瞬間にその原因に気づきました。

曲と曲の繋ぎが、全部ブレイクの箇所でカットインするだけなんですね。そしてKSHMR本人も全然ヘッドホンでモニターしてない。おそらくセトリは予め決められてて、VJもその進行に従って順番に映像を流すだけ、という感じでした。

時折リズムを変えて、ハードスタイルっぽいアップテンポにしたり、今流行りのトロピカルハウス風にテンポを落としたり、といった工夫もありました。

自分が好きなBazaarかかった時はさすがに結構アガりましたけどね。(ムービー撮り損ねた…)



ここで感じたガッカリ感の分析はまた後述します。


2. Zedd

Zeddはメロディアスなボーカルアンセムを多数リリースしており、これはもう、もの凄い一体感で大合唱になるだろうなと、イベント前から期待してました。

ところが始まってみるとKSHMRよりはDJっぽいものの、やはり繋ぎ方にあまり捻りがないというか、ブレイクでフェードインアウトするだけの繋ぎで、5分おきくらいに頻繁に盛り上がりどころがやってくるので、せわしない印象を受けました。

そのアーティストのアンセムというか「キメ」トラックはやはりある程度時間をかけてビルドアップしてボルテージを上げてから放つことで、より強烈な高揚感となって昇華させられると思います。

ただし、これはZeddのようなアーティストは自身のトラックの殆どがボーカルもので、それなりに知名度も高いものばかりなので、ビルドアップ向きの地味なトラックが引き出しに少ない、というのもあるような気がします。

それならばセットリストは必ずしも自作曲こだわらなくてもよいのでは?とも思いますが、そこは観客の期待もあるので、ジレンマ、プレッシャーもあるのではないでしょうか。





Stay the Night #Zedd #zoukout #zoukout2016

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Clarity音頭 #Zedd #zoukout #zoukout2016

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Spectrum音頭 #Zedd #zoukout #zoukout2016

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それでもやっぱりClarity, Spectrumなんかは言わずもがなの名曲だなと。フロアも盆踊り状態。ただそれだけに、繋ぎや、その曲に持っていくまでの構成をもっと丁寧にやって欲しかったところです。


3. Martin Garrix

DJ MAGのTOP DJ100の堂々1位に輝いただけあって、3人の中では一番DJらしいプレイでした。オープニングでAnimalのピアノアレンジでしっとりと始まるという憎い演出も。

一方で、Martin Garrixのトラックはあまりメロディアスではなく、どちらかというとハードでダーティな雰囲気のため、自分の個人的好みとしてはそこまで好きでもありませんでした。

またプレイの合間合間でベース系やロービートのトラックを交えることで、単調にならないよう工夫をしてましたが、個人的にはリズムが変わるのが頻繁過ぎるかなとも感じたので、せっかく高まってきたところで勿体無い…という印象も受けました。







Helicopter #MartinGarrix #zoukout #zoukout2016

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Animal音頭 #MartinGarrix #zoukout #zoukout2016

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Tremor #MartinGarrix #zoukout #zoukout2016

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Dragon #MartinGarrix #zoukout2016 #zoukout

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花火が最高のVJ #MartinGarrix #zoukout #zoukout2016

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最後は花火が大量に連発され、華々しいフィナーレとなりました。


4. まとめとか

イベントとしては総じて間違いなく大変満足でした。
10月のULTRAの時も感じたように、シンガポールのクラブイベントは外国人の来場者が多いにもかかわらず、とても治安が良く、若者中心ながらマナーにも優れてます。日本ではやんちゃな連中のイベントそっちのけの迷惑行為で興醒めすることが多かっただけに、安心して音楽に集中できるいい環境です。

もっとも治安の良さは、マシンガン持った警察官が会場をウロウロしてたり、シンガポールでは問題を起こした時の肉体的、経済的、社会的制裁がシャレにならない、という理由もあります。


5. EDMフェスは「クラブイベント」ではない

KSHMRのプレイの途中で感じた、違和感をもう少し細かく、申し上げたいと思います。

曲が「繋がってない」、ということはやはり非常に残念でした。DJのプレイを現場で聞く良さのひとつは、DJ個人個人のミックスの臨場感というか、次の曲がじわじわ聞こえてくる時のゾワっとする感覚だと思ってます。
またブレイクがやたらと多いのも(これはトラックの構成上の問題なのかもしれませんが)、ダンスミュージック特有の、ミニマルな四つ打ちの繰り返しによって身体の鼓動と音楽のビートがシンクロすることによるフロアへの没入感を失わせる要因なのだと感じました。

このようなことで何が起きるかというと、結局音楽の「ミックス」による高揚感が得られないので、必然的にアンセムでしか盛り上がれなくなる。そして曲と曲の間は、テンションを高めていくためのビルドアップでは無くなるので、文字通り間が持たなくなり、ますます矢継ぎ早にボーカルアンセムを次々とカットインせざるを得なくなる、ということだと思ってます。
こうなってくると、もはやDJのミックスというより、単なるCDを鳴らすだけのライブミュージックと呼ぶ方が適当なようにも思えます。

但し、現在それが興行としては立派に成立してるということもまた事実です。ダンスミュージックフェスには行くけど、普段からクラブに足を運ぶわけではない、という層は確実に増えてますし、それが観客動員数となってイベントの巨大化を支えているのでしょう。

また前述の、DJミックスとミニマルなリズムとフレーズの繰り返しを身体にシンクロさせるような楽しみ方は、客の側にも一定の技術のようなものを要するため、万人が共有できるものでもありません。そのためフェスの、ましてやメインステージでは中々実現しにくいプレースタイルであるという側面もあります。

また次のDJの転換も、曲を繋いでいくわけではなく、前のDJのプレイを一旦完全に止めた上で、やたらと時間がかかっていたのも驚きでした。こんな間延びさせちゃっていいんか….とはらはらしてましたが、MC?っぽい人がトークとコール&レスポンスで繋ぐ、といった一幕もあり、なんとか凌いでました。プロのアーティストのイベントとしてどうなの、という疑問も残りましたが…

ゆえに、ダンスミュージックフェスは「クラブイベント」ではないということを、特にクラブで「DJのプレイ」を楽しむのが好きな人ほど、肝に銘じる必要があるのでは無いでしょうか。

これはなんかもうアニクラに感じてたもやもやと完璧に相似してる現象だなとも思いました。
けれどもそれが広く受け入れられていて、イベントとして成立している限りは、勝てば官軍というか、それが正義なのだと思います。

個人的には、アニクラであってもEDMフェスであっても、それがクラブ遊びそのものへのきっかけになったらいいなぁと思う一方で、如上の決定的な楽しみ方の違いがある中では、残念ながら中々両者がクロスオーバーしていくということにもなりにくいのかな、とも思った次第です。

誤解なきよう申し上げると、アーティストへの批判をする意図は全くありませんし、イベント自体も凄く楽しめました。
もしかするとたまたまzoukout でのプレイだけが、自分が感じたようなものだっただけなのかもしれません、という免責を申し添えます。

クリスマス、カウントダウンとイベントが目白押しの時期ですが、皆さまに良き音楽とクラブイベントとの出会いが多からんことをお祈り申し上げます。

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